実家と動物②
犬なんて飼わなきゃいいのに、いつも思っていた。
うちで飼われていた犬達は可哀想だけど、幸せな犬も知らなかった。父はあれほど痛めつけておきながら、機嫌がいい時は犬を撫でたり褒めたりすることもあった。「犬は人と違って裏切らない、嘘をつかないから好きなんだ」よく言っていた。
好きだから関わりにいく、でも好きだから相手を大事にするとは限らない。コミュニケーションを取りたい訳じゃない、一方通行の好きだ。
犬に限らず人間でも同じ、DV人間の感覚。
外面がよくて、他人には気さくで優しい言葉がけと振舞いをしていた。外からは分からない筈だ。
父を断罪したいのではない、とっくの昔に断罪したから。いつの間にか動物に対し、同じように冷たい人間になった自分を見つめる為。