実家と動物①
父は鉄砲が趣味だったことから、シロが亡くなって以来、実家に来た犬は全て猟犬。
殆どが狩り用大型犬のポインターだった。犬は次々と来たが、いつの間にか死んでいて、その度に穴を掘って埋められていった。
何匹飼ったのか分からない。名前も覚えていない。
雑種犬シロが亡くなって以来、家にきた狩猟犬はすべて父の犬と割り切っていたからだ。
私の犬は死んだ、もういない。
家は典型的な貧乏子沢山、父は粗暴で母を殴るタイプ、共働きだった。
2人に共通していたのは犬への接しかた。犬が吠えて止まない時は物を投げつける、クソ犬と怒鳴る。
父は更に酷い。鳴き止まないと棒で叩く蹴る引きずり回す、飯を抜くなどがあった。犬は人が声をあげるだけでビクビクしてすぐに伏せた。犬は叩かれ過ぎて怪我をする時もあったが自然治癒するものと信じられていた。そう、犬は人と違う別の生き物だからと。
父は自分の都合で血統書付きの狩猟犬を買っておきながら面倒は殆どみずに、犬の世話は子供の義務だと言った。
私は益々反発してやらなかったが、シロを知らない弟達は散歩に連れていったり最低限の手伝いをしていた。それでも犬小屋の周りはいつも汚く不衛生で犬はダニだらけだった。
私は犬に近づくのも見るのも嫌になっていった。